競輪をエンタメにすり替えるサイバーエージェントの狙い——これは社会実験か、それとも依存ビジネスか

目次
突然の競輪ゴリ押し、その裏で何が起きているのか?
※正確には競輪事業を担っているのはサイバーエージェントグループの 株式会社WinTicket ですが、本記事では便宜上「サイバーエージェント(CA)」と表現します。
最近、やたらと目にする「WINTICKET」の広告。
Abemaの番組間にねじ込まれるCM、若手俳優やアイドルを起用したプロモーション、そしてSNSでの不自然なほどの露出。
正直、多くの人がこう思っているはずです。
「なんでサイバーエージェントがここまで競輪を推してんの?」
競輪は“終わった市場”じゃなかったのか?
競輪といえば、おじさんの娯楽。縮小産業。そう思われてきました。
でもCAはそこに逆張りで突っ込んでいる。
市場規模は7,000億円。縮小はしているが、逆に言えば誰も本気で若者を取り込もうとしていない市場。つまり、CAにとっては「支配できる余白がある最後のギャンブル」なんです。
若者を「ギャンブル漬け世代」に仕立てる戦略
CMのキャスティングを見れば分かる通り、狙っているのは従来の競輪ファンじゃない。
20代・30代のライト層に「競輪って意外とイケてる」と錯覚させ、気づけば車券を買わせる仕組み。
要するにCAは「未来の依存顧客」を育成しているわけです。
格闘技をAbemaで流し、合間に競輪を宣伝する。
ゲームやSNSで遊んでいる延長線上に“ギャンブル”を組み込む。
これはただの事業じゃなくて、人間の嗜好を書き換える社会実験です。
データこそ最大の武器
CAが本当に欲しいのは「投票データ」です。誰がどのタイミングで、どの選手にいくら賭けたか。
それは広告代理店として喉から手が出るほど欲しい情報。
毎日レースがあり、結果がすぐに出る競輪は、広告のA/Bテストと親和性が抜群。
CAにとってWINTICKETは「ギャンブルアプリ」なんかじゃない。
人間の行動データを吸い上げる装置なんです。
「スポーツエンタメ」の皮をかぶったギャンブル拡張
彼らは格闘技を「スポーツエンタメ」に仕立て上げました。
次は競輪。推し選手、ストーリー性、推し文化。
でも最後は必ず「課金=車券購入」に落とし込まれる。
見せかけはカッコよく、裏側はギャンブル依存の拡張。これはビジネスか、それとも社会実験か?
国策を味方につけた免罪符
競輪は公益法人が管轄し、売上の一部は社会還元。
だからCAはこう言えるわけです。
「社会貢献しています」「DX推進しています」と。批判が来ても、この“正義の顔”を盾にすれば無敵。
ギャンブルの未来はCAに握られる
極端な文章になりましたが、サイバーエージェントが狙っているのは単なる競輪の黒字化じゃない。
「ギャンブルそのものを再定義し、次世代の依存市場を独占すること」です。
もしこの戦略が成功したら、近い未来——
Abemaで格闘技を観て、WINTICKETで競輪を賭け、データは広告に回収される。
そんな“全方位依存エコシステム”が完成するでしょう。
それを「未来のエンタメ」と呼ぶか。
それとも「社会を食い物にする新しい依存構造」と呼ぶか。
答えは、これを読んでいるあなた自身の中にあります。